猫シリーズの最後は、百間先生のこの作品。
言うまでもなく、オリジナルの「吾輩は猫である」は、
猫が甕に落ちて、念仏を唱えながら溺れるシーンで終わるわけだけれど、
そこには猫が死んだということは書かれていない。
(猫自身が語り手なのだから当たり前だが)
それを逆手にとって、猫が首尾よく甕を脱出して、
「五沙弥」という新たな主人の家に潜り込むという場面から始まるのが、この「贋作」で、
漱石門下の中でもズバ抜けてユーモアのセンスがあった、
百間先生ならではの作品である。
ただ正直な感想を書くと、この作品、あまり面白くない。
まぁそれだけオリジナルが偉大だということなのかもしれないが、
退屈さを感じてしまう部分が多いのも事実である。
借金取りが家にやって来て主人とやり取りする件なんか、
いかにも百間先生らしくてイイのだけれど、
全体としては間延びしたコントを見せられているようで、
読む前の期待大きかっただけに、残念さも同じく。
ということで、来年は「真・贋作吾輩は猫である」を、
このブログで連載しようと、密かに決意したのだった。。