特に江戸時代の浮世草子あたりをベースに、
印刷や製本などについて語ったエッセイ集。
通常の文学研究とは違うアプローチなので、
僕のような書誌学のド素人には、
とても新鮮味がある。
著者の大学院時代から、渡英するまでの回想部分は、
研究室という場所の特殊性が浮き出ていて、面白い。
いつの時代も、どの大学でも、
国語・国文学の研究室には、変わり者が多いということも、
妙に納得できた(笑)。
本阿弥光悦の工房での「嵯峨本」の製作過程を、
小説風に想像で語っている部分が、
リアリティがあってよい。