「東京の『怪道』をゆく」(川副 秀樹)

 

地図と写真が豊富なので、
それを見ているだけでも十分楽しめる。

文章も、地図に沿って綴られているので、
読み物としてだけでなく、
このままガイドブックとして、
この本を片手に東京散策に出るのもよいだろう。

新・旧吉原周辺、隅田川全流域、江戸各地の七不思議、

というのが、主な内容であるが、

東京の東側、特に隅田川沿いについて、
詳しく語られているので、

隅田川好きの自分としては、
あぁ、これはあの辺りだな、と、脳裏に実際の景色を思い浮かべながら、
バーチャル散歩を楽しんでいるような気分になれる。

読みながら感じたことがあって、
我々は普段、東京を移動するとなると、大抵電車に乗るわけだけれども、

鉄道の路線がどこを通るかは、
当然ながら各鉄道会社の都合で決められているため、
昔の人の移動経路を全く無視してしまっている。

例えば、隅田川の上流、鐘ヶ淵から千住大橋辺りにかけては、
歴史的にもかなり面白いエリアなのだけれども、

鐘ヶ淵から東武スカイツリーラインに乗ると、
千住大橋方面には行かず、北千住まで行ってしまう。

千住大橋近くを通っているのは京成電鉄の方であり、
こちらはこちらで、隅田川は無視し、荒川を横切って、
東の方へ真っ直ぐと伸びてしまっている。

つまり、隅田川を下流から上っていった場合、
鐘ヶ淵という大きなターニングポイントを、川に沿って走る鉄道はなく、
東武と京成が、いかにもライバル同士のようにすれ違っているのである。

こういう箇所が他にも多々あるから、
東京を巡るには、歩くのがベストというわけだ。

この本を片手に、いつか隅田川を上流から下流まで踏破してみたい。