最近、というかいつもだけれども、
大きな本屋がある街でちょっと時間ができると、
その本屋にいって、新刊書コーナーを覗くようにしている。
新刊書なんて、どの本屋でも一緒なのでは?
と思われるかもしれないが、そうでもない。
新刊書コーナーは、その本屋の個性表現のひとつでもある。
時事関連が多いのか、理科学系が多いのか、
小説か、新書か、などなど、
その本屋が何を読ませたいのか、つまり何をアピールしたいのかは、
おそらく新刊書コーナーを見れば分かるのである。
福岡伸一の本は、どの本屋でも必ずといっていいほど、
目立った位置に、それなりスペースをとって置かれている。
この本を買った書店でもそうだった。
そして、新刊書コーナーに置かれていたこの本を買ってみた。
なるほど、人気がある理由も分かる気がする。
デザインをやっている人とか、そしてこの福岡さんのような理系の人とか、
文章を書くのが本業でない人が書く上手い文章というのは、
とても魅力的なのである。
簡潔にして要領を得ているというか、
専門の文章家さんのように凝ろうとしないところが、かえって魅力になっている。
そんな文章で、自らの専門分野のこともサラりと説明してくれるわけだから、
読む方としては、ウンウン唸りながら難しい文章を解読することなく、
快適な読書で新しい知識が得られるのだから、そりゃ嬉しいに決まっている。
内容は、著者のニューヨーク生活のあれこれを綴ったエッセイ。
上述したように、彼の専門であるバイオ分野のトピックスも豊富なので、
知的好奇心を満たしてくれる。