古天文学の第一人者による著作集。
著者は、東京天文台の教授をされていた方なので、
いわゆる「トンデモ本」とはほど遠い、
きわめて真面目な検証をベースとしている。
「枕草子」「建礼門院右京大夫集」「太平記」「詩経」
のような古典文学に見られる天文検証の分析や、
ストーンヘンジ、ナスカの地上絵、益田岩船
といった古代遺跡の天文学的な意味、
など、オーソドックスで目新しい内容ではないが、
その堅実な検証方法は、
古天文学とはどういうものかを知るには丁度いいのかもしれない。
この本の内容からは外れるけれど、
僕がいま興味があるのは、「古事記」や「日本書紀」などの神話における、
一見、天文とは関係はないけれど、
実は天文現象を指していると思われることがらである。
スサノオとオリオン座を結び付けることは可能なのか、
それともスサノオは、ヒドラを倒したヘラクレスなのか、
月読命は、なぜ誕生以外ほとんど登場しないのか、
天津甕星は、本当に金星でよいのか、
などなど、
時間があれば取り組みたい課題が山ほどある。