「漱石を売る」(出久根 達郎)

 

作者は直木賞作家らしいのだが、失礼ながら名前すら存じ上げず、
ただタイトルに魅かれて読んでみた。

作者の本業?は古本屋の主人ということで、
古本屋の日常にまつわる内容を中心とした、50編ほどのエッセイから成る。

正直、毒にも薬にもならない本とはこのこと。

感動もないし、感心もない。

そもそも、エッセイなのに書き振りが明らかにフィクションぽい。

万が一これが実話だったとしても、
フィクションであるかのように読まれてしまうということは、
お世辞にも文章が上手いとは言えない。

別にフィクションだろうと、ノンフィクションだろうと、どちらだってよいのだが、
演出過多な部分と、作者の主観部分とのバランスが著しく悪く、
読んでいて、それがどうにもこうにも、しっくりこないのである。

僕は活字至上主義者ではないので、
この本を読むぐらいなら、漫画や雑誌の方が、まだマシなものが多いかもしれない。