監督:ポランスキー、
主演:ユアン・マクレガー、ピアース・ブロスナン
という、豪華な顔ぶれのサスペンス。
いかにもヨーロッパ映画らしい重厚なストーリーで、
あっと驚くようなドンデン返しのようなものはないが、
じわじわと話が展開し、最後の最後まで謎が謎のままで、
ふっつりと終焉を迎えるという、何ともシブイ映画だ。
ユアン・マクレガー演じる主人公が、
ピアース・ブロスナン演じる英首相の、
自伝のゴーストライターになるのだけれども、
そこから政治的な陰謀に巻き込まれ、
自らも探偵のように真実を探っていくうちに後戻りできなくなり、
ラスト近くで真相を掴めたところで、ジ・エンドになるという、
米英関係や中東情勢などを絡めつつ、謎解き要素もそこそこあって、
原作も脚本もよく練られているなという印象。
とにかく、ハリウッドもののような派手さはないので、
そういう方向を求める人にはお勧めしないが、
大人向けの濃厚なサスペンスを堪能したい人には、
ちょうどいいと思う。
原作者が脚色に加わっているだけあって、
映画としてのバランスも非常によい。
全編が雨もしくは曇りという設定になっていて、
ロンドンの重い空気と、主人公たちが籠る孤島の雰囲気が、
観る側に感覚として伝わってくる。
映画における雨のシーンの重要さを、あらためて実感。
適正価格:1,800円(劇場換算)