この宇宙の根源をなす「4つの力」のうち、
重力だけが、統一できる理論が未だに発見されないというのは、

科学がまだそのレベルに追いついていないせいなのか、
それとも、重力は残りの3つの力とは異質なのであり、
そもそも統一できるはずのないものなのか。

アインシュタインが「一般相対性理論」にて、
重力とは時空の歪みであると論じたことは、
すなわち、重力とは通常の「力」ではないということであり、
やはり統一しようと考えることが、ナンセンスなのではないかという気もする。

もちろん、そう考えることで別の諸問題が生じてくるわけだけれども。

また、なぜ重力は「逆二乗則」に従うのか。

大概の教科書には、この宇宙が等方な三次元世界だからと述べているが、
(僕だけかもしれないが)その説明だと、どうもしっくりこない部分もある。

何が言いたいのかというと、
要するに、重力についてまったく別の視点で考えてみる必要があるのではないか、ということ。

そこで最近気になっているのが、「ホログラフィック宇宙論」ってやつだ。

この理論自体は、もう何十年も前からあるわけだけれども、
最近、この理論の裏付けが、日本の科学者によって行われたというニュースがあったので、
あらためて注目してみた次第。

「ホログラフ」は、本来は二次元のものなのに、
光の当て方などで、あたかも三次元のように見える。

それを敷衍したのが「ホログラフィック原理」なのだが、
たとえば、こんな例で考えてみよう。

テレビにつながれたファミコンで、「マリオブラザーズ」をプレイしたとする。

AボタンだかBボタンを押すと、マリオがジャンプする。
だがジャンプをしても、延々と上昇し続けるわけではなく、
マリオはすぐに着地する。

なぜか。

昨今の中学生なら、「だって重力があるから」って答えるだろう。

そう、重力があるから、マリオは落下する。

だがちょっと待ってほしい。

マリオはあくまでも「テレビ画面の中」で動いているだけであって、
そこには実際の重力の法則は、一切発動されていない。

ファミコン内で、「あたかも重力に支配されているかのようにプログラミングされた」マリオの動きが、
テレビ画面に映し出されているにすぎない。

我々の宇宙もこれと同じだよ、というのが「ホログラフィック宇宙論」。

本来は重力ではないものが、重力であるかのように見えている、
本来は2次元なのに、あたかも3次元であるかのように見えている、

乱暴に言ってしまえばそういうことだ。

2次元の紙(厳密には立体だが)を、ぐちゃぐちゃに丸めれば、
立体になる。

次元とは、もしかしたら相転移のような存在なのかもしれず、
エントロピーがなぜ不可逆なのか、といった問題の解決糸口も、
この「ホログラフィック宇宙論」にあるのかもしれない。

20年ぐらい前かな、ジム・キャリー主演で「トゥルーマン・ショー」って映画があった。

あの映画では、自分の住んでいる街が実はスタジオのセットで、
遠くに見える景色はハリボテだった、というオチなのだけれど、

勘違いしないでいただきたいのは、「ホログラフィック宇宙論」というのは、
別にこの宇宙がハリボテだというわけではなく、

次元、そして物理法則が、錯覚されて捉えられている可能性を示唆するものだということだ。

ニュートン物理学が、アインシュタイン物理学の「局所的な錯覚」にすぎなかったのと同様、
果たしてアインシュタイン物理学も、全く別の物理法則の錯覚である可能性はないのだろうか。