日本人なら、いつもよりは少しは星空について考えてみたくもなる七夕の夜、

厳密にいえば、2015年7月7日の夜から9日にかけて、

星空にまつわるニュースがいくつか飛び込んできて、

ひさびさにパソコンの画面に釘付けになった。

・金星探査機「あかつき」が、再投入に向け軌道修正
⇒金星といえば、暴走温室効果による灼熱地獄のイメージが強いが、
地球とサイズがほぼ同じで、兄弟ともいえる惑星だ。

なにせ環境が環境なので、同じくお隣の火星と比べても、
ほとんど探査されていない状態である。

しかし、個人的には太陽系の中で一番興味のある天体かもしれない。

なぜ惑星の中で唯一自転方向が逆なのか、
先入観を除いても本当に生物がいる可能性はないのか、
プレートテクトニクスはどうなっているのか、

等々、調査する価値は多分に残されていると思っている。

その金星の周回軌道に送り込まれたのが、日本の探査機「あかつき」なわけだが、
一度軌道投入に失敗していて、これが再チャレンジとなる。

再投入は今年の12月だが、それに向けた軌道修正が今月行われるということだ。

正直、オリンピックとかはどうでもいいので、
こういうところに、国家の威信をかけていただきたい。

・日本惑星協会が4年ぶりに活動再開
⇒何を隠そう、僕は学生時代にここの会員で、
定期的に送られてくる英語の論文集を読んでいたのが懐かしい。

いつのまにか閉鎖されていたのは知らなかったが、
それがこのたび復活するとのこと。

また入会を検討してみるかな。

・ナスカの地上絵24点を新発見
⇒山形大学の研究グループが、ナスカの地上絵の「新柄」を24点も発見したらしい。

ナスカの地上絵というと、
「宇宙人が描いたのか」とか「宇宙人へのメッセージか」とか思いたくなるが、
地球に来るぐらいの技術力がある宇宙人が、わざわざあんな絵を描くわけがない。

でも「宇宙人へのメッセージ」というのは、当たらずとも遠からずで、
これら地上絵というのは、天上の神に対する祈りであるとみて間違いないだろう。

あるいは、ナスカの原住民が独自に設定していた星座に対する、
地上からのカウンターパートとして描いたのかもしれない。

いずれにせよ、ベクトルが空に向いていることは確実である。

・彗星に地球外生命の可能性
⇒このブログでもたびたび登場している、着陸機「フィラエ」がいる、
チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の表面を調べた結果、
生命が存在している可能性があるという。

この記事を読んで、なるほど、、と思ったのは、
この説を唱えたのは、あのチャンドラ・ウィクラマシンゲ博士だという。

同博士は、もともと、生命の種は宇宙からきたという説(パンスペルミア説)を唱えている人だから、
このような発表をするのも、宜なるかな、である。

だから彼の発表には、期待と偏見が多分に含まれているにせよ、
そもそもESA(欧州宇宙機関)がこの探査機を彗星に送り込んだのは、

生命、とはいわないまでも、有機物の存在を確認することが目的だったから、
同博士も荒唐無稽なことを述べているわけではない。

いやむしろ、彼の言っていることが真実である可能性もある。

・ニューホライズンが復活
⇒英語の教科書ではない。

地球を離れてはや9年。
初代プレイステーションレベルのコンピュータを積んで、
太陽系の果てへと孤独な旅を続けていた、冥王星探査機「ニューホライズン(New Horizons)」が、
最接近間近で、アクシデントに見舞われていた。

どうやらコマンドがたまりすぎてフリーズしてしまっていたようで、
それが無事復活したというニュース。

このブログを書いている14日現在、間もなく最接近というところまできている。

これは今年一番の感動的なニュースかもしれない。

冥王星あたりまでいくと、太陽は地球からみた金星や木星レベルにしか見えない。
そんな闇の宇宙を、淡々と無事に進んできたわけで、
まずはそのいじらしさに拍手である。

そして今回ニュースになった不具合からの復活。
(これはもしかしたら、ドラマチックに見せるために、
いかにもアメリカ的に大袈裟に吹聴している可能性もあるのだが・・)

冥王星は、火星や金星と同じく、岩石惑星である。

木星、土星、天王星、海王星は巨大なガス惑星なのだが、
最後の最後にきて、小さな岩石惑星なのが、この冥王星。

岩石惑星だということは、複雑な地形があり、
なんらかの地殻活動がある可能性もある。
そしてもしかしたら、氷も・・

と考えると、このミッションはとてつもなく重要なのである。

なにせ、再度探査機を飛ばしても、到着までにあと10年かかる。

いま集められる限りの情報を集めて、
惑星形成のメカニズムや、惑星系の真の姿を解明する手がかりとなるわけだから、
New Horizonsが受けている期待は、とてつもないものなのである。
(現状、冥王星の鮮明な写真すら存在していないのである。
彼が撮影することで、少なくとも新しい惑星図鑑が出版できるはずだ)

ただ残念なのは、今回の探査は、「近くを通り過ぎる」だけで、
上述した「あかつき」のように、惑星の周回軌道に突入させるものではない。

冥王星を周回させることも、岩石惑星だからローバーを着陸させることも、
理論的には可能なわけだが、
とにかく遠すぎて、光速でコマンドを飛ばしても数時間かかるのだから、
さすがにそれはムリだろう。

あとは素敵な画像をたくさん送ってくるのを楽しみに待つとしよう。
NASAに税金を払っている、米国民には感謝しなくては。