ここで採り上げられているネタは四つ。
「風神雷神図屏風」「キトラ古墳壁画」
「慈照寺銀閣」「興福寺阿修羅像」。
それぞれをデジタル復元するところから見えてくる、
「日本美術のヒント」のようなものを、
豊富なカラー図版を用いて説明していて、
ヘタな美術論や文化論よりも、遙かに面白く、奥が深い。
美術品や文化遺産を、鑑賞物という枠組みではなく、
それらが本来あった文脈に戻して眺めることで、
ここまで多くの発見があることに、驚かされる。
それは単に、作られた当時の色に戻しました、とか、
欠損していた部分を再現してみました、とかのレベルではなく、
我々は文化というものに対して、
如何に臨むべきかという、
およそ「文化的」と呼ばれるあらゆる行為の根底にある、
価値観を問い正すきっかけとなってくれる気がする。
誰にでも分かりやすい平易な文章ではあるが、
内容はかなり濃い一冊。
久々に同一著者の著作を、追いかけてみたくなった。