「科学するブッダ」(佐々木 閑)

 

前半が物理学・数学・進化論についての概要、
後半が仏教についてのお話。

でもって、西洋科学と仏教の共通点を炙り出そうというのが、
本書の狙い。

特に前半の科学パートは、ヘタな専門書よりもよくまとまっていて、
ここだけでも読む価値は十分あると思う。

後半の仏教についての説明も、
完全とは言えないながらも理解ではできたのだが、

ただ、肝心の科学と仏教の共通点を述べるところは、
もう一歩踏み込んで欲しかった。

西洋科学と東洋思想とが近づいてきていることは、
以前このブログでも述べたことがある気がするが、

でもそれって、この本に書かれているような、
仏教では並行宇宙に多数のブッダの存在を認めていて(ホントか!?)・・・
というような次元ではなく、

もっと根本の、宇宙の始まりとか、
生物はどこへ向かって進化しているのかとか、<br
そういう包括的なレベルでの共通点であって、

それを無理して具体レベルで対比させようとすると、
やはり強引な感じがするのは否めない。

ただよくよく考えてみると、
「一神教的神」(=絶対的視点)を捨て去った西洋科学が、
東洋思想に近づいてくるというのは、
当たり前といえば当たり前なのだが。

ともかくも、現代の科学がどのような方向に進もうとしているかを知る上では、
ぜひとも一読しておきたい一冊だと思う。