テーマ自体はすごく興味深いのだけれど、
ただ、さすがに新書で語り尽くせるような内容ではない。
古典の引用が少ない割に、
明治以降の、一般読者から投稿された日記を長々と紹介し、
それぞれに「文末は『~た』が目立つ」とか、
どうでもいい部分にこだわりを見せるなど、
ちょっとバランス的にイマイチな気もした。
現代は誰もがtwitterやblogで日記(に近いもの)を書く時代で、
それらを読むのと、例えば荷風先生の「断腸亭日乗」を読むのとでは、
果たして何が違うのかだろうかという、
そういう単純な問いから、割と文化の核心を衝くような答えが見つかるようにも思うのだけれど、
この本では、ちょっと欲張ってあれもこれも紹介しすぎなのかな。
特に近代以降の日記に関しては、
僕の興味の範疇外ということもあり、ほとんど頭に入ってこなかった。
ただ新書にしては、学術的に濃い内容が書かれていると思うし、
文化史というか文学史に興味がある人であれば、
一読しても損はない、かも。内容的に難しいけど。