例えば、第21代天皇とされている人物は、
「古事記」や「日本書紀」には、
オオハツセノワカタケル
という名で登場するが、
我々に馴染み深いのは、「雄略天皇」という呼び方である。
これを、「漢風諡号」という。
「漢風諡号」は、八世紀に淡海三船(おうみのみふね)によって付けられたとされているが、
ひとつひとつのネーミングをじっくり眺めてみると、
なるほど、そこには何らかのルールというか、
意図があるのでは?と思えてくる。
そこを手掛かりに、「古事記」や「日本書紀」には描かれなかった、
日本史の真実(?)を推理しよう、というのがこの本の主旨。
目の付け所はすごく面白いと思うのだけれど、
こういう本にありがちな、
「強引に結論付ける」
というレベルを脱却していないのが、すごく残念。
例えば、「蘇我入鹿=聖徳太子」で、その子供が天武天皇だった、とか言われると、
いくら古代史に詳しくない僕だって、ポカーン、となりますよ、そりゃ。
確かに、「日本書紀」や「古事記」の記述というのは、
意図的に改変されているのは、はっきりしてるし、
それはおそらく、編纂を命じた天武天皇や持統天皇らにとって、
都合の良い形になっているだろうことは、容易に想像が付くのだけれど、
疑問点や不審点をそのまま挙げるだけでは、
やはり本として売上が伸びないということなのかなぁ、、
何もそんな荒唐無稽な結論に持っていかなくても、と、
非常に残念に思う。
あとは、史料から、自説に都合のよい部分だけを抜き出して、
都合の悪い部分は不問とする、なんていうのは、
まぁこの手の本にはよくあることなので、
いちいち目くじらは立てませんが。。
でも一応フォローしておくと、
中には、鋭い指摘や正しいと思われることもたくさん書いてあるわけで、
だからこそ、やっぱり「もったいない」。
この一言に尽きる。