1930年代、戦争に入る直前の日本滞在記。
日本はまだ欧米に宣戦布告を行っていないとはいえ、
国際連盟から脱退し、孤立を深め初めていった時期であり、
その頃にイギリス人が、このような日本贔屓の滞在記を
書いているということが興味深い。
日本滞在記といっても、大半は東京の話なので、
80年後の今とあまり変わらない部分も多く、
ここに書かれた内容をもって当時の日本の姿だと思ってはいけないだろう。
日本贔屓の視点で、著者が感じた日本の美点を中心に書かれているため、
読んでいるうちに胃もたれというか、若干飽きてくる。
1930年代という、昭和史的にはかなり緊張度が高かった時代を、
庶民がどのように生きて、どのように捉えていたのかが伝わるような内容であったなら、
それこそ第一級の資料となっていたに違いない。
とはいえ、外国人から見たかつての日本の姿を振り返ることで、
現代の日本にも生かせる点があるのでは、と思う。