四本の論文を柱として、
関連のあるコラムやインタビューを加えた構成になっている。
さすがにこのジャンルは語られ尽くされた感もあり、
なかなかこれは!と思える記述は見当たらなかった。
特に太刀の文様や、仏教美術における人面鳥の問題など、
苦心して無理やりにネタを作ったようなものもあり、
タイトルから感じられたワクワク感は、正直皆無だった。
「怪獣」の代表格として「ゴジラ」が名が挙げられているが、
あれは造形的にも、存在意義的にも、非常に分かりやすい例なのであって、
B級SF映画に出てくるような、もっと得体の知れないモンスターを採り上げて、
それらの意味するところを研究した方が、
結構面白い論文が書けると思うのだけれど。
妖怪にしたところで、今さら「一つ目小僧」について語っても、
「妖怪ウォッチ」を見て育った子供には、見向きもされなくなるかもしれない。
現代という時代は、実は妖怪や怪獣たちの全盛期なのではないだろうか。
そこを、「昔はよかった」的な発想で入ってしまうと、
この本のような、ツマラナイ(失礼)研究ばかりになってしまう恐れがある。
いつの時代においても、妖怪や怪獣は文化のメインではなく、
常にサブカルチャーであった。
ゆえに、その接し方を間違えると、
いつまでたってもその核心に迫ることができず、
正体不明の存在のままとなってしまう。
それがまた彼らの魅力でもあるのだけれど。