ポーの小説を原作とした、精神病棟を舞台としたサスペンス。
時代設定は19世紀、
冒頭の、主人公が馬車で森を抜けて、
人里離れた隔離病棟に辿り着く描写とか、
ベタだけど「いかにも」な雰囲気を出していてキライじゃない。
その精神病棟で、見るも無残な人体実験が行われていて・・・となると、
どこにでもある安っぽいホラーになってしまうのだが、
この映画はそうじゃない。
主人公が思わず「珍しい」と口にするぐらい、
そこでの患者たちは、自由に生き生きと生活しているのだ。
実はそこに、この物語の最大のカラクリがあって、
あーなるほどねと思わせてくれるんだけど、
もうひとつ大きなトリックが隠されていて、
それは物語の終盤で明らかにされるのだが、
そっちの方は予想が付いた。
(一言でいえば、ディカプリオ主演の「シャッターアイランド」的なアレ)
ストーリーの奥には、
19世紀的な精神治療やアカデミズムへの批判のようなものも読み取れたり、
単なる加害者vs被害者という図式が成り立たないような複雑さがあったり、
なかなか重厚感のある映画に仕上がっていると思う。
ただちょっと、新しい時代を象徴するとされる、
電気ショックを用いた治療装置がショボイというか、
前時代的なものへのアンチテーゼなわけだから、
そこに「凄み」や「怖さ」を期待するのは、
矛盾するというのは分かっちゃいるけれど、
でも観る側としては、ここにもう少し工夫が欲しかったかな。
適正価格:1,800円(劇場換算)