今から10年近く前の、ベン・アフレックによる監督処女作で、
脚本も手掛けたのこと。
一言で感想を述べるなら・・・・これは素晴らしい作品!
「アルゴ」のときもさすが、と思ったのだけれど、
あちらはちょっと政治色が強いのが個人的にマイナスだったのに対し、
この作品は、王道サスペンスのスタイルを貫きつつ、
個人の価値観の違いと、「正義とは何なのか」という重めのテーマを絡めて、
隙のない作品に仕上がっている。
ストーリーとしては、幼女誘拐事件の解決を依頼された探偵が、
警察と協力しながら捜査を進めていくうちに、
事件の裏に隠された真実を知ることになるのだが、
それは、登場人物それぞれが(被害者でさえも!)正しいと思ったことを貫いた結果であって、
一応事件は解決するものの、色々と考えさせられてしまう・・という話。
事件自体はひとつなのだが、各キャラクターの思惑が綿密に絡まっていて、
それを一枚ずつ剥がして真実に近づいていくという、
今までありそうでなかったタイプのサスペンスなので、かなり新鮮味があった。
小説が原作らしく、そちらは未読なのだが、
こういう話を映像化し、観る側が理解できるように伝えるというのは、
かなり難易度が高いだろうことは素人の僕でも分かることで、
監督&脚本の技量の高さを証明している。
キャスト的には、
主役のケイシー・アフレック(ベンの弟)はちょっとクセがあるので好き嫌いが分かれそうだが、
脇を固める名優エド・ハリスが、
モーガン・フリーマンをも凌ぐレベルの存在感で、個人的にはツボだった。
最近みたサスペンスの中では、頭ひとつ抜けてる気がする。
適正価格:2,200円(劇場換算)