映画「インフェルノ」

ここのところアホみたいに仕事が忙しく、
映画館に足を運ぶのは何か月ぶりだろう、怖くて履歴を振り返りたくもない。

特に観たいわけではなかったのだけれど、
気分のリフレッシュを図るには、映画館か美術館に行くしかあるまいと思い、
時間の都合上で前者となり、さらに消去法でこの作品となった。

消去法とはいっても、スター・トレック(笑)との二択だったわけで、
「ダ・ヴィンチ・コード」も「天使と悪魔」もキライな映画ではなかったし、
迷うことなく、そしてそこそこの期待を持って、「インフェルノ」を観た。

(以下、ネタバレの可能性あり)

とにかく冒頭の20分ぐらいが濃くて、ここがこの映画のヤマだといっても過言ではない。

病院のベッドでラングドン教授(トム・ハンクス)が悩まされる幻覚が、
現代版「神曲」の地獄絵図のようで、
ここの描写が思っていたよりも結構ホラーテイストになっている。

主人公の意識が戻るにつれて、ストーリーの筋がだんだん明らかになってくるというのは、
もはやお決まりの手法ではあるが、観ている方としては若干じれったい。

話の流れとしては、数日前に自殺したマッド・サイエンティストが、
世界の人口を半減させる殺人ウィルスをどこかに隠していて、

その隠し場所をなぜか主人公が知っていることになっていて、
何者かに命を狙われるが、冒頭の病院の女医に助けられながらウィルスの場所をつきとめていく。

そして味方だと思っていた女医が何と・・・!
というのがひとつのオチなのだけれど、まぁそれは何となく予想できたし、

ところどころ現れる謎解きも、
結局はアナグラムだったり、歴史クイズのレベルだったり、
正直、あんまり目新しさはない。

むしろアクションシーンがやたらと多くて、
トム・ハンクスをダニエル・クレイグにすれば、
そのまま007シリーズの新作になったのではないかという。。

さて、そのマッド・サイエンティストによる気になったセリフがあって、
僕の拙い英語力によれば、たぶん、

The sixth extinction is ours.
※最後のoursの部分が自信ない。

といっていて、これを字幕では、

6番目の絶滅種は、人類だ。

と訳していたのだが、これは明らかに誤訳というか、これでは意味が通らない。

地球上の生物の歴史には、過去5回の大絶滅があって(5回目はあの恐竜を滅ぼした白亜紀末の大絶滅)、
次に起こりうる6回目の大絶滅は、人類の手によるものではないか、とも言われている。

つまり「the sixth extinction」というのは、
文字通り「(過去の5回の大絶滅に続く)6回目の大絶滅」のことであり、
「6番目の絶滅種」ということではない。
(過去5回の大絶滅も、当然ながら単一種の絶滅などではないのだから)

なのでここは、

6番目の大絶滅は、我々の手によるものである。

ぐらいが適切ではないだろうか。

今回のボンドガー、、いやヒロイン(女医役)は、フェリシティ・ジョーンズ。
12月公開のスター・ウォーズのスピンオフ作品でも主演らしく、
いま注目の女優さんなのだとか。

トム・ハンクスも特に魅力のある役者でもないし、
今回の見所は、美人のヒロインといつもどおりのイタリア美術巡り、といったところ。

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