なんでまた暗号なんかに興味を持ったかといえば、
暗号のもつ、「関数」そして「言語」としての側面が、
いまのマイブームにぴったりだったから。
例えば、ミッドウェー海戦におけるD暗号のような、
誰もが想像するいわゆる暗号の話から、
万葉集やある種の漢文のような、
言われてみれば暗号だな、というものの紹介や、
暗号解読・生成についてのテクニカルの話、
エニグマのような暗号機械についての説明まで、
とにかくこの一冊を読めば、
古今東西の暗号ワールドをディープに堪能できる。
中にはちょっと分かりづらい話も多いのだけれども、
ただ暗号の基本というのは、
情報を如何にして秘匿するか
というこの1点であり、
それはまた、コミュニケーション手法としての言語文化を高度に発達させてきた人間による、
ハイレベルな知的遊戯であるともいえる。
数学と言語という、一見関連のなさそうな両者が、
完全に同居するのが「暗号」であるというのも、また面白い。