江戸市民や侍の収入や、当時の物価について分かりやすく解説した本。
江戸文学の難しさのひとつに、お金の数え方が分かりづらい、というのがある。
金、銀、銭が何進法なのか、
そして、現代の価値に直すといくらになるのか、
頭では理解していても、咄嗟には出てこない。
寿司は一貫で8文だから約125円で結構高いのね、とか、
蕎麦は一杯16文で250円でアラ安いわね、とか、
実感できる品物をベースに、江戸の金銭感覚に慣れることが大切で、
それにはこういう入門書がぴったりだと思う。
ところで、「東海道五十三次」といえば広重の名作だが、
そこには、各地の食い物屋がたくさん描かれているのでも有名。
この本では、「水口宿」にところてん屋が描かれていると紹介されていて、
はて?水口にそんなの描かれていたかしら、と思って見直してみても、
やっぱり描かれていない。
何か間違えているのでは?と、もう一度その部分を読み返してみたら、
広重ではなく、北斎の「東海道五十三次」と書かれていて、
これには、ヤラれた。
「五十三次」といえば、反射的に広重だと思い込んでいたのだが、
そういえば、あまり知られてはいないが、北斎にも「東海道五十三次」がある。
調べてみると、確かに水口にはところてん屋があった。
ちなみに当時のところてんは、一椀で20文というから、約315円。
今でいえば、ちょっとカフェでケーキを食べる感覚かも。