生命、生物、そして進化についての10の論文・エッセイをまとめた本で、
「宇宙・ヒト・微生物」という副題が付いている。
ひとつひとつの章はとても興味深いのだが、
残念なことにそれぞれが完全に独立してしまっているため、
深い内容へ辿り着く前に終わってしまう。
例えば第一章「生物圏からメタ生物圏へ」は、
そのタイトルどおり、宇宙時代に入った現代において、
生物圏をどのようなものとして捉えるべきか、
そしてその生物圏における、生命や進化の在り方はどんなものなのか、
という、まさに科学の究極のテーマといってもよい内容に踏み込んでいるわけで、
もしこの内容が、そのまま残りの9章で展開されていたならば、
それはとてつもない名著になっていた可能性がある。
しかしながら、
読む側が次に進むべき道や課題についてのヒントを与えてくれているという点で、
こういう本も悪くないし、
何も、必ずしも一冊で完結するだけが本じゃない。科学本も然り。
いろいろは本があるからこそ、読書の意義もある。
まぁこの本風に言えば、
いろいろな生物がいるからこそ、研究の意義がある、
といったところか。