生物学・進化学における、
オスとメスのあれこれについて、易しく説明した本。
紹介されていたトピックスの中から、
印象深かったものを、ひとつ。
カタツムリは、男性器も女性器も併せもつ、
いわゆる「雌雄同体」なのだが、なぜそうなのかというと、
カタツムリは動きが鈍く、行動範囲が限られているため、
他の個体と出会うチャンスがほとんどない。
その上、性が決まっていると、さらに生殖の確率が減ってしまうため、
両性具有にして、出会った個体を択ぶことなく、
生殖行為ができるようになっているという。
まるで山奥にいる仙人のようではあるが、
仙人が自ら生殖活動を断つ(たぶん)のとは違い、
カタツムリは、いかにしてチャンスをものにするか、
という視点から「両刀使い」になったというのは、
なんとも生命の神秘を感じさせる話ではないか。
その他、女装する生き物や、
単為生殖の謎、性転換する魚たち、
類人猿は一夫多妻または乱婚なのに、
なぜヒトだけが一夫一妻なのか、
などなど、興味深い話が次々に出てくる。
結論からいうと、生物というのは「メス」が基本で、
「オス」はサポート役に過ぎないということ。
男性にとっては、ちょっと考えさせられる内容ではある。