「大伴家持」(藤井 一二)

 

歌人ではなく、
政治家(官僚)としての家持に焦点を当てた本。

編年体で記されており、
何年に何をして、どんな歌を詠んだかということに、
さらりと触れていくスタイル。

家持が編纂に関わったとされる万葉集についても、
わずか7ページほどしか割かれておらず、

歌人としての家持を好きな人が読むと、
ちょっとがっかりする内容かもしれない。

でもまぁ、
長屋王の変とか、恵美押勝の乱とか、道鏡とか、

奈良時代独特のドロドロした事件を、
家持がどうやり過ごしたのかというあたりは、知っておいても損はないかな。

万葉集から窺える歌人・家持からはちょっと想像できないような、
激動の人生を送っていたことが、よく分かる。