映画「ガール・オン・ザ・トレイン」

 

主人公(エミリー・ブラント)は、アル中の女性。

仕事に向かうフリをして乗っている列車の窓から仲睦まじいカップルが住む「憧れの家」を、
毎日眺めるのを楽しみにしていた。

けれど、その「憧れの家」の二軒隣は、かつて自分が住んでいた家であり、
今でもそこで暮らす元夫と、その現在の妻と子供との幸せな家庭が、
更なるアル中を進行させる原因となっている。

そんなある日、「憧れの家」に住む女性が、
別の男性とイチャついているのを列車内から目撃してしまい、

自分の理想を汚されたように感じた主人公は近くの駅で下車し、
通りかかったその女性に声を掛けたまでは覚えているが、

酒のせいで以後の記憶がまったくなく、
ただ翌朝に血まみれ・泥まみれになった自分の姿に驚くとともに、

「憧れの家」の女性が行方不明になったことを知り、
事件を解決しようと決意するのだが・・、というお話。

原作の小説が、王道系の推理小説っぽいので、
あらすじを説明するのにも、ちょっとややこしい。

主人公がアル中ですぐ記憶を飛ばしてしまう、というのが、
この作品の仕掛けの肝で、

彼女が断酒をして更生するとともに、事件の記憶も蘇ってくるというのが、
違和感のないストーリー展開を生み出している。

登場人物の役割は明確で、誰もが犯人になり得る疑わしさをもっており、
最後の方まで犯人探しを楽しめるわけだが、

小説ではそこが描けても、映画では失敗するケースは多く、
ここでは脚本がうまくまとめたなぁ、という印象。

主人公は、「プラダを着た悪魔」での演技が記憶に残る、エミリー・ブラント。

彼女を始め、登場する女性陣がみな魅力的なのだが、
ストーリーの鍵を握る、主人公の元夫は、
「なんでこいつがそんなにモテるの?」というカンジだったので、
せめて見た目だけでも、もう少し一般的な(?)イケメンを起用しても良かったかも・・。

細かいけれど、主人公が毎日使う列車の走るシーンの映像とかが、
ちょっと古風な情緒を醸し出していて、そのあたりも好感が持てる。

女性の生き方というか価値観みたいなものがベースになっているので、
女性が見た方が、すんなりと受け入れられる映画かもしれない。

オススメするほどではないが、まぁ観ても損した気分にはならないと思われる。

適正価格(劇場換算):1,600円