「日本 傑作広告」(大伏 肇)

 

随分と古い本だと思って古書店で買ったのだが、
初版が平成3年とのことで、そうでもなかった。

でも扱っている素材は江戸~昭和初期にかけてのものなので、
内容的には、古書然としている。

Webの業界に入って以来、
なぜかチラシとかポスターとか「1枚もの」の広告に興味があって、

それはなぜかと考えてみるに、
1枚という限られたスペースで、伝え手と受け手がいかに濃い内容をやり取りできるか、
その緊張感のようなものが、僕なりに感じられるからだろうか。

要するに、遊びがない。

一見、遊んでいるように見えるものもあるが、
それは遊んでいる体で、でも裏では真剣にコミュニケーションを図っているのであり、
遊びが目的ではなく、手段となっているのである。

というわけで、昔のチラシや新聞広告やらの写真をひたすら載せてくれている、
このような本は僕の大好物なわけで。

例えば、こんな愛すべき広告2点。

広告

 

果たして「近眼治療器」なるものがどのような医療器具なのか、まったく想像つかないし、
それは右側の「どじょう地獄」についても同様。

でもなぜか、心を惹かれる「何か」がそこにはある。

もちろん、この本で紹介されている広告には、
もっと真面目なものや、美術的価値の高いものなどもあるのだが、

上の例のような「胡散臭さ」もまた、
広告の醍醐味のひとつなのだと思う。

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