「図説「最悪」の仕事の歴史」(トニー・ロビンソン)

 

英国史上における「最悪」と思われる職業の詳細を説明した本。

筆者が定義する「最悪」の5つの要素とは、

体力が必要なこと
汚れ仕事であること
低収入であること
危険であること
退屈であること

であり、上記を1つ以上含む職業ができる限り網羅されている。

その例を挙げるならば、

金鉱夫/写本装飾師/鉄収集人/コイン奴隷/ウミガラスの卵採り/治療床屋/亜麻の浸水職人/財務府大記録の転記者/焼き串少年/御便器番/爆破火具助手/シラミとり/疫病埋葬人/浴場ガイド/絵画モデル/船医助手・・・

といった具合である。

そして栄えある(?)「the worst of the worst」に輝いた職業は、
先に述べた5つの要素のうち4つを含んでいるとして、

皮なめし人

となっている。

へぇ、そうなのかい・・・・この結果を見てそう思う人がいても、
それは不思議ではないだろう。

なぜならば、そもそも例えば「退屈」であるかどうかは、
非常に主観的な問題であり、
アインシュタインにとって退屈だったかもしれない特許庁の仕事が、
他の人にとっても同様であるとは限らないからだ。

また、仕事というのは多かれ少なかれ「やりたくない」要素をもっているのであり、
どんな仕事であってもそのネガティブな一面を誇張すれば、
ほら、最悪でしょ?と紹介することはできそうに思われる。

特に英国のようにある時期まで文明の最先端にいた国においては、
現在では想像するのも難しいような、ありとあらゆる職業が生まれては消えていったわけで、
この本はむしろ、「英国史における珍しい職業事典」と呼んだ方がよいのかもしれない。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です