映画「オートマタ」

 

スペイン・ブルガリア合作のSF映画。

「オートマタ」というのは普通名詞で、
ロボットやアンドロイドの前身となるようなヒト型の機械で、

日本でいうところの、お茶を運んだりする「からくり人形」を
想像してもらうのが近いかもしれない。

映画の舞台は、汚染が進んだ近未来の地球。

人類は自分達の手助けになるようにと、
ヒト型のロボット(オートマタ)を開発し、使役しているが、

オートマタには絶対に破れないはずのプロトコル(規格)が2つあって、
それは、「生物に危害を加えない」ということと、
「自らを含むオートマタの修復はしてはならない」というもの。

しかし、第2のプロトコルに従わないオートマタが発見されることとなり、
知恵をもった機械と人間との交流と対立が始まることになる、という話。

一言で評すならば、「深いSF」。

「自らを含むオートマタの修復はしてはならない」という第2のプロトコルは、
すなわち生物でいうところの「創造と進化」に対応するわけで、

「創造と進化」という生物ならではの能力を身に着けたオートマタと、
ヒトとの境界線が薄れていく中で、

人間とは何か?生物とは何か?進化とは何か?

という、深いテーマにハマっていく映画となっている。

実際、物語後半に、オートマタが別の個体を作り出すとうシーンがあるのだが、
そこで出来上がった個体が「昆虫型」というのも、

地球で成功した生物が昆虫であるという事実との関連を考えると、
なかなか興味深い。

なので、悪くいえばちょっとストーリーが小難しいというところか。

個人的には、こういう「キレイゴトじゃない近未来感」が好きだし、
生物進化と機械というテーマを正面から採り上げた作品として、
評価したい。

この内容の濃さはヨーロッパ映画ならではのものだろう。

 

適正価格(劇場換算):2,000円