2012年の英・独・仏合作のサスペンス映画。
サスペンス要素はそれほど練り込まれたものではないが、
この映画の魅力はドラマ部分。
シャーロット・ランプリング演じる謎の女性と、
彼女を追うガブリエル・バーン演じる刑事。
初老(?)の二人が織りなす恋愛ドラマが何とも哀切で、
とにかくこの映画は、二人の名優の演技で成り立っているといっても過言ではない。
だから今時のドンデン返し系のサスペンスを期待すると、
ガッカリさせられることは間違いないが、
ハラハラ要素のある大人の恋愛ドラマだと割り切れば、
それなりに観ていられる。
ガブリエル・バーンは何となく悪役のイメージが強いのだけれど、
今回は男から見ても惚れるカッコよさ。
全体的にヨーロッパ映画独特の抑制されたトーンになっていて、
過度にではなくしんみりと見るにはちょうど良いだろう。
原題は「I,Anna」で、
主人公のアンナが、劇中でいくつかの偽名を使うことからしても、
このタイトルにはそれなりの意味はあるのだが、
いかにもありきたりな邦題になってしまったのが、
ちょっと残念だ。
適正価格(劇場換算):1,300円