以前、といっても4年半も前のことだが、
「春を告げる漢字」という記事を書いたら、
なぜかいまだに記事ランキング3位に入るぐらいに読まれているではないか。
何か特別なことでも書いたかしら?と思って、
当該記事を読み返してみたのだが、
我ながら大した内容は書いていない。
ただ、末尾に「次回は、6月ごろ、『夏』バージョンを。」と書いてあるにもかかわらず、
「夏バージョン」など書いた記憶がない。
なので4年越しの約束、
しかも夏は既に過ぎて涼しさが感じられる時期になってきたのではあるが、
「夏」を含む漢字について調べてみた。
当然ながら「夏」は部首にはなりえないので、
「つくり」に「夏」を含む漢字を探すわけだが、
そのような漢字は、ほぼ間違いなく「カ」(正確には「クヮ」)と発音するはずなので、
『諸橋大漢和』の索引巻の「カ」の字を全部舐めてみる。
・・・以外に少ない!
とりあえず紹介しよう。
【にんべんに夏】
「夏」と同じ、とある。
あーそうですか。
【がんだれに夏】
これは「庇(ひさし)」という意味らしい。
庇は日射しを防ぐものだから、
「がんだれ」の内側ではなく外側に「夏」がありそうなものだが、
この字が生まれた当初はエアコンなんてなかったわけで、
だとすると庇の内側だろうが外側だろうが、いずれも同じく「夏」。
要は、夏はどこにいても暑いんだよ!ということだと勝手に解釈してみる。
【まだれに夏】
これは上記「がんだれに夏」とほぼ同じ意味らしい。
庇以外にも「大きな家」という意味もある。
【やまへんに夏】
「山の名」とある。
あーそうですか。
【夏の右側に鳥】
「鳥の名」とある。
あーそうですか。
【やまいだれに夏】
これは期待できそう。
なんといっても、夏は食べ物も腐るし、体調も壊すし、
夏特有の病気を表しているに違いない!と思って調べてみたら、
「まだれに『夏』と同じ」とある。
あーそうですか。
【榎】
ようやくまともなのが出てきた。
これは説明するまでもあるまい。
食用キノコの「エノキダケ」とは別物です。
もちろん「アントニオ」とも別です。
「椿(つばき)」「榎(えのき)」「楸(ひさぎ)」「柊(ひいらぎ)」で、
木編のストレートフラッシュ。
【夏を3つ並べる】
「森」の要領で「夏」を3つ並べる漢字があった。
「轟」とか「蟲」とか、なんかおどろおどろしいじゃないですか。
今年の夏なんかはまさに「夏」を3つ並べたくなる。
勝手に「トリプルサマー」と読むことに決めました。
さてどういう意味かと期待に胸を躍らせて、
『諸橋大漢和』第三巻の317ページを見てみる。
手の震えを抑えながらようやく辿り着くと、
そこには説明が1行のみ。
「『夏』に同じ。」
・・・あーそうですか・・。
ということで、
次回は、10月ごろ、『秋』バージョンを。