久々にNHKオンデマンドを視聴。
正直、かなり期待外れというか、
果たしてこんな内容で良いのか?という感想だった。
「あらゆる天体は固有の音を持っている」
というのがこの番組のテーマなわけだが、
要するに天体が持つ固有のプラズマの波長を、
音に置き換えることができるのだ、ということ。
・・・はい。
音の正体は空気中を伝わる波なのだから、
数学の教科書に出てくる三角関数のグラフや、国勢調査の統計グラフだって、
音で表そうと思えば、もちろんできる。
ただそこで表現されるのは、
あくまでも、音の高低や強弱といった、波の中での相対的なデータの偏向であって、
それは天体のプラズマ波長であっても同じことだ。
けれど、この番組で紹介されている事例が胡散臭いのは、
相対的な音の変化というレベルを超えて、
そこに「何の根拠もない」音色やハーモニーを加えることで、
あたかも天体が(音ではなく)「音楽」を奏でているかのように表現している点だ。
もしかしたら天文学の専門家というのは、元来ロマンチストなのかもしれないが、
それにしたって、単なる波長データを使って、
恣意的に音楽を作るというのは、行き過ぎ感がハンパない。
そしてそれを、いかにも事実であるかのように報じるこの番組もいかがなものなのか。
さらに番組の終りの方では、
今度は逆に、実際の音楽をエンコード(データ化)して宇宙に送り、
それを受け取った宇宙人(?)が、首尾よくデコードできさえすれば、
友好の証しとしての音楽を聴くことができるだろう、
という内容が紹介されていた。
高校生でも気付く単純な疑問点が2つ。
・受け取った宇宙人(?)は、果たして正しくデコードできるのか?
・万が一デコードできたところで、その音楽が「友好の証し」と解釈される保証はあるのか?
逆に、宣戦布告のメッセージと捉えられる可能性はないのか?
・・・・・・
というわけで、ちょっと論点をずらして、
「天体はそれぞれユニークな信号をもっている」
ぐらいの内容にとどめておけば、それなりの番組になっていたはずなのに、
方向性を間違えて番組を制作してしまったという典型例。