「日本語の謎を解く: 最新言語学Q&A 」(橋本 陽介)

・日本語の起源は?
・なぜ五・七・五なのか?
・丁寧を表す「お」と「ご」の使い分けは?
・古語と現代語で意味が異なる単語があるのはなぜ?
・ら抜き言葉は誤用なのか?
・古文はそのまま話されていたのか?
・「は」と「が」の違い
・日本語の語順はなぜSOVなのか?

などなど、実際に著者の教育現場で挙がったという、
日本語に関する疑問について、
ひとつひとつ解説を加えていくことで、
日本語の特徴を概説している本。

初歩的な内容から、やや専門的な内容まで網羅しているため、
日本語に興味のある幅広い読者に対応できると思われる。

そういえば僕も20年以上前、
国語学の授業で、半年間ずっと、

「は」と「が」の違い

の講義を受けていたことが思い出されて、
何となく懐かしい。

これは日本語に限らず、だとは思うが、
一応ルールみたいなものがあっても、

人が使う以上、必ずしも規則が適用できなかったり、
あるいは規則そのものが変わっていったりするので、

言語というのは生き物なのだと、
あらためて感じさせられる。

この本の内容は、総じてよく書かれているとは思うが、
一点だけケチをつけるならば、

助動詞「た」や古語の「つ」「ぬ」について述べるあたり、
完了と過去をまとめて解説しているのだが、

たしかに、完了と過去は似てはいるが、
もっと明確に、非なるものとして扱った方がよかったのではないか。

そのために、何となく歯切れの悪い説明になってしまっている。