特に深い理由はなく、
毎日寝る前に布団の中で古典を読むことにしているのだけれど、
いやぁ、この作品は睡眠導入としては最適だった。
南北朝初期の動乱の中にあって、
幼い息子を権力争いから守り育てる苦労や、
当時の朝廷(北朝)や公家たちの様子が、
克明に描かれている。
ただ、「中務内侍日記」と同様、
事実を客観的に書き残そうという意識が強いせいか、
文学作品というよりは、記録的価値の方が高いのかも。
自分の幼い息子が、拙い和歌を詠んだ場面、
雪の朝に、日毎の所作なる文を、
人々読ませ聞ゆるに、詠み給へる、雪降りて 寒き朝に文読めと 責めらるるこそ悲しうはあれ
などは微笑ましいのだけれど、
基本的には、あまりに硬派すぎて、
心に残る部分がほとんどなかった作品。