昔、昔のその昔、long,long,ago・・・
たぶんまだ30代の頃、
恵比寿のマンションに引っ越したときに、
夜中に隣のおっさんが訪ねてきまして、
「なんで引っ越しの挨拶に手土産をもってこないのだ」
と。
おっさん曰く、
「俺はどうでもいいんだけど、家内が不安がってるので、
引っ越してきたなら、何でもいいから持ってきてよ」
って、僕も当時会社経営してたこともあり、
一応社会的常識はあったつもりなので、
引っ越しが落ち着いたら挨拶に行こうと思っていたのに、
そんな急に来られても(汗
とりあえず、次の日に慌ててアトレでお菓子を買い、
隣に挨拶に行ったわけですよ。
そしたら奥さんが出て来られたので、
昨夜ご主人が来られたこと、そしてお詫びを伝えると、
奥さんはびっくりして、
「うちの主人が申し訳ありません。悪気はないので・・」
って、逆に謝られてしまい、
その後もあれこれ面倒くさかったので、
なんやかんやで1年も住まずに転居したという思い出。
要は、集合住宅って気を遣うわけです。
この映画は、ロンドンが舞台だそうですが、
一軒家の一階と二階で、別の家族が住んでいるという、
やや不自然な設定。
しかも両家の妻とも妊娠しているのだが、
とある事件をきっかけに、階下の妻が死産をしてしまう。
そこから両家の関係がギクシャクし始めるわけですが、
そのギクシャク感を露骨に描かないのが、
この映画の見せ所。
ジワジワ怖い、ってやつです。
名作スリラー『ローズマリーの赤ちゃん』を何となく彷彿とさせるのですが、
ああいうダイレクトな怖さはない。
どっちが被害者で、どっちが加害者なのかすら、
分からなくなってくる。
最初は嫌がらせから発展し、
赤ちゃんを預かることになり、そして・・・。
そして最後の最後で真相が分かるわけですが、
個人的な結論としては、
「こんな家、住んじゃいかんよ」
ということ。
隣家に菓子折をせびられる前に、
菓子折を持っていきましょう。
適正価格(劇場換算):1,500円