すでに1月も後半になってしまったが、
ちょっと正月らしい話題を。
新しき 年の初めの 初春の 今日降る雪の いやしけ吉事
は、以前の記事でも紹介した、
『万葉集』の最後を飾る家持の歌であるが、
実は「初春(はつはる)」という語が、
和歌に詠み込まれている例は、極めて少ないことに気が付いた。
『万葉集』では上記の他に、
初春の 初子の今日の 玉箒 手に取るからに 揺らく玉の緒
の一首のみ(たぶん)。
八代集では、『新古今和歌集』に上記の「玉箒」の歌があるだけで、
二十一代集に広げてみても、あとわずか四首、
しかもいずれも「千世の初春」という定型句が使われているに過ぎない。
詞書になれば数は増えるのであるが、
といっても二十首ほどなので、決して多いというわけではない。
「初春の」とすれば五音になるわけだし、
時節を表す語として、さぞや和歌との相性が良いだろうと思ったわけだが、
かなり意外な結果だ。
その理由はなぜか。
・・・・・
自らへの宿題としておこう。