「ウォーキング with モンスター ~前恐竜時代 巨大生物の誕生」

カンブリア紀~三畳紀の生物たちの生存競争を描いた、
BBC制作のドキュメンタリー。

とにかくCGのレベルの高さに圧倒される。

前半は(というより地球の歴史そのものが)節足動物中心の話なので、
アノマロカリス、ウミサソリ、巨大ヤスデ(名前忘れた)など、

虫嫌いの人はちょっと目をそむけたくなるような描写もあり、
逆をいえば、それだけCGがリアルに作られている。

節足動物vs魚類、魚類vs両生類、節足動物vs爬虫類、
そして哺乳類型爬虫類同士の戦いなど、

ほぼ全編に渡って捕食の話がメインであり、
「食うか食われるか」が生物の進化の原動力であることを、
今更ながら思い知らされる。

思えば我々ヒトの祖先も、数百万年前に、
それまでの樹上生活を棄てて地上生活を採用したわけで、

何となくその事実は前向きに捉えられることが多いが、
実際はもっと悲惨なものだったのではないだろうか。

動物の絶対的な強さは大きさで決まるのだとすれば、
他の肉食動物と比べ、ヒトは明らかに小型である。

つまり、力が弱く、脚も遅い。

おまけに、他の獣のように牙や爪が鋭いわけでもない。

言うなれば、捕食者たちがウロウロしている場所に、
丸腰&丸裸で投げ出されたのが、我々ヒトであって、

それは意図的に地上に進出したというよりも、
樹上でライバルたちとの生存競争に破れ、
やむを得ず「地獄のような」地上へと活路を見出したのではなかったか。

我々は、いまの状態から「常に最強の生物であった」と思い込みがちだが、
実はそうではなく、むしろ「捕食者たちの格好のエサ」だったであろうことを、
この作品を見ながら考えさせられる。

そもそものことを言ってしまえば、
生物というシステム自体が、
他の生物を自らに取り込むことで成り立っているわけであり、

話は逸れるが、
現代人のように、そうではない、つまり生物的には「よこしまな」理由により、
同類を殺めるという行為は、
生物システムという観点からは、
ナンセンス以外の何物でもないのである。

・・・などと、色々なことを考えさせられるわけだが、
単に生き物好きな人であれば、
観ているだけで十分に楽しめる作品に仕上がっている。