古典対照語い表 (笠間索引叢刊)

「万葉集」「竹取物語」「伊勢物語」「古今和歌集」
「土佐日記」「後撰和歌集」「蜻蛉日記」「枕草子」
「源氏物語」「紫式部日記」「更級日記」「大鏡」
「方丈記」「徒然草」

のそれぞれの作品の中で、
どの単語が何回使われているかを、
一覧化した本。

中古から中世にかけての、
代表的な古典作品において、
ある単語がどれぐらい登場するのかを見ることで、

その単語の時代ごとの使用度合や、
また、作品内での単語使用の偏りなど、

さまざまな観点で、とても参考になる。

たとえば、下記の「あはれ」を見ると、

「あはれ」の比較

「源氏物語」の944回というのが、
突出しているように見えるが、

実は巻末の別表によると、
「源氏物語」ののべ語数は、
「蜻蛉日記」の10倍近くあることが分かり、

そうすると、「あはれ」の、
944回と99回という両作品での使用回数の差は、
割合的には納得のゆくものとなる。

逆に「をかし」でみると、
「源氏物語」の534回に対し、
「枕草子」では422回であるが、

前者ののべ語数が、
後者の6倍以上だということを加味すると、

「枕草子」における「をかし」の使用回数が、
かなり突出していることが分かる。

とまぁこんな風に、
用語という観点から古典作品を眺めることで、
いろいろな発見が楽しめるのである。