孤島に集められた10人の男女が、
何者かに一人ずつ殺されてゆく・・・
という、
現代のミステリーで定番となった設定の、
まさに原点ともいえる作品で、
少年時代に読んで、
とにかく、怖い、
という印象だけが残っていたが、
ディテールはすっかり忘れていたので、
懐かしさを感じながら読んでみた。
童謡の歌詞どおりに、
一人ずつ消されてゆくというストーリーは、
謎解きというよりも、
確かにスリラー要素の方が強く、
子供の頃に怖かったというのも、
自分のことながら、頷ける。
そして強烈なのが、
エピローグだなぁ。
犯人が、真相を書いた紙をビンに詰め、
それが海を漂っていたのを拾われる、
という、
最近もどこかで読んだパターンだけれども、
その犯人の手記が、
犯行のトリックを明かしているだけではなくて、
殺人に対する動機というか、
執念というか、狂気というか、
人間の裏の顔を鮮明に描いていて、
これがまた、怖い。
どうやら僕は、
これを読んだ体験が、
記憶のどこかに根強く残っているので、
島や屋敷に招待された客が、
一人ずつ殺される、というタイプの作品に、
惹かれるということなのだろう。
何となくスッキリした。
それにしても、
「そして誰もいなくなった」は、
同工異曲の作品が量産されるほどの、
リスペクトされるべき傑作だというのが、
今回心底理解できた。
読み直して、大正解。