スティーブン・ジョンソンによる、
「新・人類進化史」シリーズの3冊目。
実際の歴史や政局などの、
重要な局面に存在した「決断」の例をたどりつつ、
予想、選択、決定といった、
「決断」に至るまでの一連のプロセスには、
どのような方法があり得るのか、
そしてそれらを行う際に、
我々の脳や心理がどのように作用するのか、
について述べた本。
オバマ政権によるビン・ラディン暗殺作戦については、
目星を付けた家に住んでいるのが、
そもそもターゲット本人かも分からない中で、
他国(パキスタン)の領空にヘリで侵入し、
家の上でホバリングしながら、
狙撃兵を下ろすという「決断」の裏側が、
実に詳細に描かれており、
「決断」とは何か、を理解するにはうってつけである。
また最終章における、
著者自身の「決断」の体験談から、
なぜ文学作品を読むことが有益なのか、
という話につながってゆくのが、
やや唐突感があるのは否めないが、
そこには著者による力強いメッセージを、
感じることができる。
単に科学や歴史の本として読むだけではなく、
ビジネスや人生において、
「決断」をせねばならない時の参考として、
なかなか有意義な内容だった。