高橋 繁行 著「土葬の村」(講談社現代新書
著者自身の実地調査の結果を交えながら、
現代日本にひっそりと残る、
「土葬」の風習について語った本。

土葬のみならず、
主に離島に残る古い葬儀の形についても、
豊富な実例で紹介しているのだが、

反面、実例紹介が大半を占めており、
それに対する考察が少ないのが、
やや不満。

まぁ、新書ということを考えると、
それも仕方ないのかもしれない。

土葬の細かな手順や作法について知れば知るほど、
その大変さに驚かされる、

逆にいえば火葬の「コスパの良さ」について、
思い知らされることとなり、

なぜ我が国の葬儀が、
風葬→土葬→火葬と変遷していったのか、

単に仏教の影響、
というだけでは片付けられないヒントが、
このあたりにありそうだ。

この本でもさらりと触れられているが、
僕の個人的な見解としては、

食人の風習、そしてその禁止と、
火葬の定着というのは、
浅からぬ関係があると思っており、

今後時間があれば、
掘り下げてみたいテーマでもある。

「死といかに向き合うか」というのは、
人として重要な問題であるが、

そこには、
「いかにして死者を葬るか」
も当然含まれるわけで、

それらについて、
なかなか考えさせることの多い、
一冊であった。