岩淵 悦太郎 著「語源散策」(毎日新聞社)
「語源」についてと、
「十二支」についての、
2種類のエッセイ風論考を収めている。

メインは「語源」の方なのだが、
さすがはあの『岩波国語辞典』の、
編者の一人でもある著者だけに、

特に古典文献の出典の紹介や、
そこからの用例や語形の変遷の推察など、

語り口は平易だけれども、
内容はそれほど軽くはない。

ただ、

降参する、という意味の「兜を脱ぐ」が、
同じく軍装である「シャッポを脱ぐ」に変わり、

それが主にテキヤの間で、
単に「シャッポ」で「失敗する」を表すようになり、

それを逆さまにして、
「ポシャる」(ダメになる)という言葉が生まれた、

というような、

特に国語に興味がなくても、
成程、、と唸らせてくれるような内容も、
あるにはある。

欲を言えば、
割と多く出てくる漢文の用例には、
できれば訓み下し文を付けてほしかったかな。