「空間は実在するか」
というタイトルはあまり正確ではなく、
どちらかと言えば、
「空間&時間論」とでも呼ぶべき内容。
それもそのはずで、
本書で扱う「空間」とは、
ミンコフスキー空間(あるいはリーマン空間)で、
そこでは空間と時間とは、
座標軸として対等の存在であり、
どちらかだけを語ることは、
意味をなさないからである。
時間と空間とは不可分、
という事実を確認したうえで、
相対性理論の基礎や、
量子論における時間・空間、
そして一番のメインとして、
「生命にとっての時間とは何か」
について語られる。
時間とは何か、
についての著者の考えが正しいとは思わないし、
そもそもこの問いに、
正解などないのだろうが、
しかし、ミンコフスキー空間からスタートして、
時間の本質に迫ろうという流れが、
非常に興味深かった。
僕が何となく考える時間の正体としては、
「慣性系」には時間が存在しない(ように見える)ことが、
ひとつのヒントのような気がしていて、
そこに何らかの力が加わると(つまり非慣性系になると)、
時間が発生するのではないか、と。
専門家ではないので、
これ以上の深入りはしないが、
まぁそんなあれこれを、
考えさせてくれる一冊。