二足歩行をする動物はいるが、
「直立」二足歩行をするのは、
我々ヒトだけである。
それはなぜか、
について論じた本。
著者によるものではないが、
以下の説が紹介されていたのが、
実に印象的だった。
すなわち、
チンパンジーが四足歩行(ナックル・ウォーク)であるから、
我々はともすると、
四足歩行の祖先から、
二足歩行へと「進化」したと考えがちだが、
真相はその逆なのではないか、
という説だ。
つまり、
我々とチンパンジーの共通の祖先は、
元々「直立二足歩行」であり、
進化の枝分かれの途中で、
類人猿たちは、
棲息環境における二足歩行のデメリットを解消すべく、
四足歩行となり、
アウストラロピテクス等のホミニンは、
直立二足歩行のまま、
多くの属・種に分かれていったが、
生き残ったのは、
ホモ・サピエンスのみであった、
ということ。
直立二足歩行は、
速く走れないために、
肉食獣の恰好の餌になるし、
脚への負担も少なくないし、
デメリットが非常に大きいわけで、
だからこそ、
我々の仲間達の多くが、
滅びてしまった事実も、
納得がゆく。
では、なぜ直立二足歩行のうち、
ホモ属サピエンス種だけが、
生き延びたかといえば、
それはおそらく、
直立二足歩行に存在するメリット面を、
活かすことに成功したか、
いやそれはあくまでも結果であり、
単に偶然が重なったためかもしれず、
そこは本書でも、
明らかにされてはいない。