この作者の作品を読むのは、
これで3冊目ぐらいかな。
ミステリーとしての出来は、
正直よく分からないけれど、
「読み応え」という点で、
好きな作家になりつつある。
平成元年、
浅草の仲見世通りの殺人事件。
一見、単純な衝動殺人に思えたが、
実は、30年以上も昔の北海道で起きた、
未解決の怪奇事件に繋がるという、
時空を超えた(大袈裟かな?)、
なかなか壮大なストーリー。
犯人は最初から判明しているので、
この作品の主眼は、
とにかく、動機とトリックを暴くこと。
トリックの方は、まぁ、そうだよね、
って感じなのだけれど、
動機の方は、ちと重いな。
戦争と朝鮮半島が絡む話になっていて、
主人公の吉敷刑事ならずとも、
いろいろ考えさせられてしまう。
まぁ、そういうところも含めて、
「読み応え」なんだけれどね。
基本、リアリズムに徹底しながらも、
その隙間を深堀りすることで、
ここまで不思議かつ魅力的な、
作品になるんだなぁ、
と感心させられました。