ポール・ハルパーン 著「シンクロニシティ 科学と非科学の間に」(あさ出版 )
科学史をイチから舐めるように見せかけて、
量子もつれや、
パウリとユングの関係という、

本書のクライマックスへと、
一気に誘い込む筆力はなかなかのもの。

大学生レベルでも理解できるように、
易しく書かれている一方で、

もう少し踏み込むべきところは、
踏み込んでもよいのでは、

というもどかしさも、
若干あるには、あった。

あとはもう少し論点を、
絞り込んでくれた方が、
良かったのかもしれない。

壮大な科学史が行き着いた先としての、
「シンクロニシティ」を描きたいばかりに、

やや冗長になり過ぎた感が、
否めないかも。

シンクロニシティの何が問題かというと、
シンプルに言えば、

情報が光速よりも速く、
伝わり得るかどうか、という点。

これはご存知のとおり、
特殊相対性理論の速度制限を、
超えていいのかいかんのか、
という問題そのものであるとともに、

量子論と相対性理論という、
いまだ相容れない両理論を、
どう融合させるのかという、

科学の究極のゴールでもあり、
人類叡智の悲願でもあるのだ。

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