NHKスペシャル取材班 著「戦慄の記録 インパール」(岩波現代文庫)
第二次世界大戦において、
最も無謀だったともいえる、
「インパール作戦」について、

生存者へのインタビューや、
現地取材をもとに、
考察した一冊。

NHKスペシャルの放送班が、
番組で伝えきれなかった内容含め、
書き起こしたとのことで、

とにかく内容が分かりやすいし、
その本気度が、
一文字一文字から、
ひしひしと伝ってくる。

とにかく「インパール作戦」なるものは、
無謀かつ無駄な戦いだった。

世界有数の豪雨地域に、
弾薬・食糧の補給もなく、

空軍や戦車を豊富に有する、
英国に対して、
まさに徒手空拳、

3万人もの死者を出したという、
この大惨事について、

いかに当時の日本軍の司令部が、
無能であり、自分勝手であり、
責任の押し付け合いだったかを、

客観的な視点で、
冷静に批判している。

雨期の荒れ狂うチンドウィン川を前に、
渡る術もなく、食糧もなく、

弱っている同胞を見つければ、
それこそ「共喰い」をするという、
過酷な現場。

一方、
そんな現場には目をもくれず、

己の出世欲のためだけに、
ひたすら攻め続ける命令を下す、
無能な司令部。

本書の終盤、
次のような記述が、

当時の状況を、
最も適確に表現しているだろう。

上司への忖度、曖昧な意思決定、現場の軽視、
科学的根拠に基づかない精神論、
責任の所在の曖昧さ・・・
インパール作戦と、
現代日本でもそこかしこで見られる
「悪弊」との「親和性」が
あのような現象を呼んだのかもしれない。

個人的に印象的だったのは、
この地獄を生き抜いた元日本兵の方が、

「自分達が、こんな無駄な戦いをしたために、
結果として原爆を落とされたのではないか」

という、
反省の弁を為していたのに対し、

この作戦の「主犯」とされる、
牟田口中将はその晩年、

自分の作戦は間違えていなかったと、
開き直っていたということ。

敗戦は、人を変えなかった。

だから、戦争はなくならない。

でもせめて、
こういう本を手にすることで、

戦争の悲惨さを、
知っておくべきである。

現代のサラリーマン社会における、
特に「管理者層」と呼ばれる方々には、
是非一読していただきたい。

自分達の、曖昧さや忖度が、
如何に部下を傷つけてしまい、
取り返しの付かない状況を生むかを、

痛感できるはずだ。
(が、牟田口中将のように、
開き直る人もいるんだろうね

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