ジョン・ディクスン・カー 作「皇帝のかぎ煙草入れ」(早川書房)
言わずと知れた、
名作中の名作ミステリー。

ただ自分としては、
どうもこのタイトルに、
まったくそそられず、

やっと今になって、
読んでみたさ。

とにかく、
心理描写が凄い。

ミステリーとしての、
トリックは、

正直、
大したことはないが、

人物の会話、
心理描写、

そしてその心理を利用した、
トリック、動機。

物理的な仕掛けなどには、
まったく縛られず、

緻密な心理劇で、
読者を魅了してくれる。

特に前半、
ヒロインの寝室での、

元夫との、
息が詰まるような、
会話の応酬は、

まったく筋違いだが、
漱石の『明暗』における、

病室シーンの一コマを、
彷彿とさせる。

ミステリーというよりも、
文芸作品として、
完成度が高い。

そして、
作者36歳時の作品とは、
恐れ入った。

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