12月24・25日は、都内にいても煩わしいだけなので、
思い切って温泉へ行くことにした。
夏から激務続きで、ロクに休みも取れなかったので、ちょうどいい。
ではさて、どこへ行こうか。
関東近辺だけど、それほどメジャーじゃないところ。
気分的には、海沿いよりは、山奥がイイ。
とまぁ、「じゃらん」とにらめっこをした結果、
鬼怒川のさらに奥にある、「湯西川温泉」に決めた。
調べてみると、ここは平家の落ち武者の隠れ里だったらしく、
クリスマスに籠ってエネルギーを蓄えるには、もってこいの場所である。
北千住から東武特急「スペーシア」に乗り込み、
2時間ほど揺られて終点の鬼怒川公園駅に着く。
一つ手前の鬼怒川温泉駅は割と賑やかだったのに対し、こちらは何もなく、
列車の接続の都合上、一時間近く何もない駅のベンチで待たねばならない。
なぜかwifiもつながならくなってるし。
こんなことなら、スペーシアにあったバーカウンター車両みたいなところで、
アルコールでも注入しておくべきだった。
・・・寒い。
わけもなく駅のポスターを何度も見たり、
同じくヒマそうにしている駅員を観察してみたり。
・・・苦行のような時が過ぎ、ようやく目当ての列車がやってくる。
わずか一駅乗れば、東武鉄道の終点・新藤原に着く。
新藤原という駅名は、田舎の終点駅の名前としては、しっくりこない。
路線図を眺めても、藤原という駅があるわけではないし、
もしかしたら、「新・藤原」なのではなく、「新藤・原」なのではなかろうか、
そういえば「秋葉原」は、元の地名は「あきはばら」ではなく「あきばはら」だった、
まぁそれとはあまり関係ないけれど、などと考えながら、
ホームの向かいに待っている野岩鉄道に乗り換える。
晴れているのに、雪が舞っている。
乗ってみると、やけに人が多い。
しかもみんな若い旅行客である。
クリスマスの喧騒を避けてマイナーな場所を選んだはずだったが、
どうもそうではなかったのか。
列車は渓谷沿いを会津方面にゆっくりと進み、やがて湯西川温泉駅に着く。
さきほどの乗客の大部分もここで降りるようだ。
トンネルの中に作られたホーム。
ライトアップされた出口から、地上まで続く長い階段を上らなくてはならない。
シンプルな駅舎。
ここからバスに20分ほど揺られると、目的の温泉街まで着く。
バスはダム湖の周りを走る形で、眺めはなかなかのものだった。
宿はいたって普通だが、広めの和室が心地よい。
窓外の景色も閑散としていて、ようやく静かな場所に落ち着いたという感じだ。
温泉に入ってから、食事。
平家の隠れ里ということで、狩人料理、要するにジビエが中心で、
それを囲炉裏でいただくスタイル。
酒は竹酒を頼んだのだが、
今まで竹酒というと、冷酒のイメージがあったのだが、
今回は、先の尖った竹筒に入れ、囲炉裏で燗をしながら飲む。
翌朝はチェックアウトを済ませてから、温泉街を歩いてみる。
朝なので人も歩いておらず、冬の空気が澄んでいて実に気持ちいい。
街道沿いの平家落人民俗資料館に入る。
資料館といっても民家をそのまま使った形で、
中は暖房も入っておらず、展示品もとりあえずそのまま置いてみた、という感じだ。
でもよくよく見ると、
こんな片田舎(失礼)にあるとは思えないような、
平安貴族が使っていたと思わしき調度品や宝物などがあり、
平家の落人が、持参して隠していたという伝説も、本当なのではと思えてくる。
それはともかく、ひとつひとつの物はかなり古く、
貴重なものであることはひと目みれば明らかなので、
もっと本格的な調査や公開をすればよいのに、、とおせっかいな気持ちになってみる。
街道をさらに奥の方へ進むと、今度は「平家の里」という施設がある。
ここは古い民家の様子を復元したもので、
深川にある江戸民俗資料館的なノリである。
まぁそんなものかという程度で、特に何の感想も無かったが、
施設内のお茶屋でいただいた、地元名物の栃もちを使ったお汁粉が、
なかなか美味かったように覚えている。
[…] 年末に訪れた湯西川温泉が平家ゆかりの地ということもあり、 […]