普段洋画のサスペンスを観ている目で、
同ジャンルの邦画を観るとどう感じるだろう、というのと、
だいぶ前に劇場で予告編を目にして、何か面白そうと思ったのとで、
DVD鑑賞してみた。
結論から言えば、サスペンスとしては失格。
原作は読んでいないので、湊かなえ(?)という作家の腕がアレなのか、
脚本がクソなのかは分からないけれど、
いや、これは文学にも映画にも共通する、
「日本人はロジカルではない」ということに起因しているのかもしれないが、
「練られた伏線とその回収」という、サスペンスの鉄則ともいうべきことが全くできていない。
しかもタチが悪いことに、一応伏線らしきものはあるんですよ。
容疑者(井上真央)による殺害シーンとその後の目撃シーンとの服装が違うとか、
会社の同僚#1と#2による、送別会の回想シーンが微妙に違うとか、
誰かが盗み食いしたケーキの、なぜか栗だけが残されているとか、
これらをうまく回収すれば、そこそこのストーリーにはなったはずなのに、
出すだけ出して、それで終わり。
同僚#1と#2も、最初はいかにも重要人物のように見せかけて、
その後のストーリーには絡んでこず、
でも結局は、どちらかが犯人だったという・・・(ネタバレすみません)。
ワイドショー仕立てやtwitterを使って、事件をゲスに盛り上げるところとかは、
まぁ日本映画ならではの感覚でキライじゃないのだけれど、
容疑者の子供の頃の回想シーンとか無駄に長いし、
バイオリニスト兄弟のネタとか果たして必要なのか疑問だし、
犯人が自白したというのも、あまりに不自然だし、
とにかくツッコミどころが満載。
やはり邦画のこのジャンルに期待するのが悪かったのか、
ジメジメとした人間関係を描くのはそこそこアリだけど、
論理的なストーリー展開は、邦画には荷が重い。
綾野剛の軽薄なテレビマンっぷりとか、
井上真央の冴えないOL役の演技はなかなかだっただけに、
ちょっと残念な作品。
適正価格(劇場換算):1,100円。