原作は有名な小説らしいのだけれど、まぁそれはさておき、
映画として公正にジャッジするならば、
頽廃、官能、暴力、残酷、エロ、グロ、ナンセンス・・・
といった言葉が思い浮かぶ。
高層タワーマンションが物語の舞台なのだけれど、
停電をきっかけとして、住民たちに狂気が蔓延していき、
高層階(=富裕層)と低層階(=貧困層)のヒエラルキーの崩壊を経て、
新しい秩序が誕生してゆく、というお話。
8割以上は「狂気」の描写に充てられていて、
暴力、殺人、乱交、窃盗、放火、あらゆる罪悪を、
かなりエグい映像で見せつけられる。
最初は、高層階の住民は、低層階の狂気に無関心を装っているのだが、
次第に巻き込まれて、マンション全体が無秩序になってゆくあたりは、
エントロピーの増加を分かりやすく表現しているようで、
なかなか興味深くはある。
マンションを世界に置き換えて、
高層階=持つ国、低層階=持たざる国、に重ね合わせ、
世界秩序の崩壊を暗示した不気味な作品ともいえる。
不気味、、そう、この作品を語るキーワードとしては、
これが最適かもしれず、
ただ、前知識がなくいきなり劇場で見せられたら、
胸糞悪くなる人も多いのではないかと。
ブッ飛んだヨーロッパ映画の典型例。
適正価格(劇場換算):800円