映画「手紙は憶えている」

 

戦時中に自分の家族を皆殺しにした、
ユダヤ人収容所の責任者に復讐を遂げるべく、

手掛かりが書かれた手紙を頼りに、
認知症の老人が銃を片手に立ち向かうサスペンス。

復讐すべき相手の名前は分かっていて、
それに該当する人物は4人。

4人のうち、誰が正解なのかを探るドキドキ感と、
何と言っても、主役が90歳で認知症という設定なので、
何をするにも観ている側がハラハラしてしまう。

映画的に当然ながら、3人目まではシロで、4人目が問題となるわけだが、
そこで驚愕な事実が明らかになるというのが、
この映画最大のポイント。

この最後の仕掛けについては、僕もちょっと思いつかなかった。

こういうサスペンスで認知症の老人が主役というのは、発想が斬新だし、
普通ではあり得ないような設定が可能となる。
(無意味にうろうろしてても怪しまれい、とかw)

あと細かいところでは、
主人公はピアノが弾けるのだが、それも長らく弾いておらず、

かろうじて、ユダヤ人作曲家であるメンデルスゾーンの小曲を思い出すのだが、
ラストシーン近くで、
ナチスの象徴でもあるワーグナーの「トリスタン」を弾くシーンがある。

「音楽に罪はない」と語るのだが、
実はそれが、彼の記憶を蘇らせる伏線になっていたのでは、
と思ったりもする。

ストーリーのテンポ感もいいし、
テーマの割に重苦しくもないし、
これはなかなかの良作と判断。

適正価格(劇場換算):1,900円